サメを救え

文:Jim Abernethy

サメは今日絶滅の危機に直面しており、毎年推定1億頭のサメが海から無闇に捕獲されています。もしサメが絶滅してしまうと、何千種もの海洋生物が生きていくのに必要とする絶妙なバランスを本質的に破壊してしまうと科学者は考えています。何種類かは既に著しく減少しており、世界の複数の地域に圧倒的な影響を及ぼしています。海の生態系を破壊することを人類が選択する権利はありません。人間は、存在する酸素の最低3分の1以上を使って呼吸し、食物の大多数を食べ、それらが海からもたらされているという事実を考えれば、全ての生き物の健康的な将来を担保するために、今この瞬間から実践し、即時に変更するという対応が求められています。賢明な手段や知識は持っていても、この差し迫った環境問題のピンチを防ぐために必要な変更を、私たち人間は本当に加えることができるのでしょうか?
自然写真家、環境保護活動家、海外で生活するダイビングのエコツーリズムビジネスの経営者として、私は少なくともここ十年間は海辺で生活をしていますし、ほとんどの時間を水中で過ごしているようなものです。大型で肉食のサメと自然環境の中で(ケージがない状態で)泳ぐことで、サメ本来の温和な性格を直接目の当たりにすることができました。そして非常に明白なことに、サメの数は深刻に減少しています。世界中のサメを観察し、写真に収めたいという情熱を持ち続ける一方で、サメに出会うことは疑いのないほどより困難を極めています。写真家、そして映画制作者として、サメという素晴らしい生き物の美しさ、壮大さを間近で見た経験のない人たちに伝えていくことに力を注いでいます。それはサメの存続を訴える上で人々により印象を与えることにもなります。ほとんどの人はサメを、メディア媒体のレンズを通してしか見たことがないので、サメは人を食らう怪物だという誤解を持っています。実際、最大の脅威はサメだけではなく、一般的な海の生き物もそうですし、地球上にいる私たちの存在自身だってそうだと思います。海の資源を開発し続ける際、尊重や倫理観のスチュワードシップに行きつく代わりに、自分たちを最も傷つける行動に出ます。生物多様性の保護はビジョンを明確化するだけでなく、私たちが生きていく上で必要不可欠な自然資源を保護することにつながります。サメは絶滅してもよい存在ではありません。
サメにはおよそ500もの種がおり、4億1500万年もの間、この惑星に美の装飾を加えてきました。しかし、今日生き残っているのは、悲しいことに大型の肉食サメのうちたったの10パーセントのみであり、国際貿易の制限によって保護されているのは、たったの3種だけです(ウバザメ、ジンベエザメ、ホホジロザメ)。哺乳類と同様に、ほとんどのサメは成長が遅く、数えるほどしか子孫を残しません。そして、たいていの場合、子孫を生む前に捕獲されてしまいます。今日の漁場調整規則は主に硬骨魚類を目的としているため、サメの保護に対しては十分ではありません。国民がサメの保護を規定する決議の採択を要求し、世界レベルで政府によって強制されない限り、ホホジロザメ、シュモクザメ、タイガーシャーク、オオメジロザメ、ニシレモンザメ、ヨゴレなどの種が絶滅の危機に直面するのは、そう遠くありません。
私の新刊Sharks Up Closeでも触れましたが、サメの個体数減少の主犯はアジアのごちそうであるフカヒレスープを提供するために捕獲する漁業にあります。サメはヒレを切り落とされて海に放たれると、溺れていってしまいます。海での出来事なので、この残酷なルーチンに気付いている人はほとんどいません。もし地上で生活している生き物(例えば犬)の付属器官が誰かによって切除されて道端に放置され、死んでしまったら、大衆からの非難がどうなるか想像できるでしょうか?数多くの自然国宝を公園に指定することで、それらを保護することはできます。ただ悲しいことに、清純な沖合水域はほとんど保護されていません。これを書いている間もメキシコ湾沖はBP社の石油流出による不可解な損害を被っていますが、世界中の海の0.5パーセント以下しか保護下に置かれていないのです。有数の保護活動家によれば、世界中の少なくとも20パーセントの海底水域は海洋保護区として保護される必要があり、メキシコ湾岸は環境的、経済的理由で保障措置が取られた代表例といえるでしょう。パラオは「サメ保護区域」を指定した初めての国ですが、他国もこの事例に沿ってくれればというのが個人的な希望です。
もう一つの主な懸念事項としては、サメの体内で検出された水銀の毒素レベルによるサメ消費の危険性です。WHOによれば、「水銀の安全レベルというのは無い」ということです。高水準の水銀は視覚、発話、聴覚、記憶等の機能障害や、不妊症、性機能不全の要因になる可能性があります。水銀で「毒された」サメが食用で捕獲されること以外に、サメの存在自体も次の理由で脅かされてしまいます。釣りのトーナメント、商業漁業による混獲、生息地の破壊、そして汚染です。サメの軟膏でできたサプリメントは、病気の治療に有効だと信じる人もいますが、科学的根拠はありません。

サメや魚の個体数を回復させるためには、数多くのステップを踏んで行く必要があります。個人レベルでは、良心的な消費者となり持続可能な漁業を支援していくことによって、漁業ビジネスの在り方に関して大きな影響を与えることができます。州レベルから世界レベルの新しい漁業規制は、手遅れに鳴る前に施行されるべきです。さらに、海の生息地や水質への配慮も鍵となります。海洋保護機関から、サメ捕獲トーナメントに抗議する嘆願書に署名する一般市民までに至るまでどのような努力でも変化をもたらすことができます。「キャッチアンドリリース」は魚を殺してしまうよりはましですが、外傷から回復できない種もおり、大型のサメにおいては特に顕著となっています。温暖化はもちろんサメの健康にも関わってきます。
直接的にであれ間接的であれ、そのような損害を生み出したのは私たちの行動です。今、サメたちを救えるのは私たちだけです。John Sawhillの言葉を借りれば、「結局のところ、社会は、私たちが作り出すものではなく、どのような破壊を拒否するのかによって定義される。」と。サメに取って人間は唯一の希望です。次世代のサメや人間は私たちにかかっているのです。

変化をもたらすには:

・Sailors for the Seaのような海洋保護団体に参加してください。
・サメを利用した製品、その製造企業に対して不買運動をしてください。フカヒレスープ、鮫肝油(スクワラン)入りの化粧品やクリーム-例えばプリパレーションH-や他のフェイスクリーム、リップバーム等。
・サメ軟骨や鮫肝油のようなサプリメント製品の健康促進効果に科学的根拠はありません。
・「サメにやさしい」アメリカ政治家を支援しましょう。John Kerry上院議員はS. 850(2009年サメ保護法)の支持者です。グアム出身のMadeleine Bordallo上院議員は、H.R. 81(2009年サメ保護法)の支持者です。Clayton Hee上院議員は、ハワイ州でフカヒレの販売、流通、所有を禁止する歴史的な法案SB2169を起草、導入しました。
・乱獲や汚染からサメを守るために嘆願書に署名してください。
・次のようなNPO法人に募金をしてください。

Shark Savers – http://www.sharksavers.org
WildAid – http://www.wildaid.org
Shark Foundation – http://www.shark.ch
Iemanya Oceanica (Adopt-A-Shark) – http://www.adoptashark.com/

・釣りをする場合は、「キャッチアンドリリース」を実践するか、持続可能性のある品種のみを釣ってください。
・サメの実態について学んでください。サメに遭遇する探検について知りたい場合は、www.scuba-adventures.comにアクセスして情報を入手することができます。

作者情報

Jim Abernethyは有名な水中カメラマンとして知られ、ケージなしでサメと接触するパイオニアでもあります。ここ数十年間、彼は「危険種」に分類される世界中の悪名高きサメと交流を続けており、危険なサメを保護する活動家としても知られています。海洋生物を撮影した受賞作はWet pixel and Nature’s Best Photography等の写真雑誌で特集されています。撮影の遠征をしている間、Imax、National Geographic、BBC Wildlife、Discovery Channel等の世界トップクラスの自然映画製作会社や雑誌などと共催することもあります。現在はフロリダに滞在しており、ウェブサイトのURLはwww.scuba-adventures.comです。