2021年8月11日

水産流通適正化法によるIUU漁業撲滅に向けて野上農林水産大臣と面談

2021年8月10日、IUU漁業対策フォーラムの代表団(井植美奈子(セイラーズフォーザシー日本支局)、桑田由紀子(ザ・ネイチャー・コンサーバンシー)、植松周平(世界自然保護基金ジャパン))が、昨年12月に公布された「特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律」(以下、水産流通適正化法)の導入実施について、野上浩太郎農林水産大臣と面談をしました。

野上大臣には、代表団からフォーラムでまとめた資料をもとに、
①EUでは当初から全魚種対象、米国でも全魚種への対象拡大に向けて動いており、米国下院に法案が提出され、早ければ1年ぐらいで全魚種に決定する可能性があること
②水産流通適正化法が可決されたことに対して海外の政府機関、NGOなどからの評価が高く、期待・注目されていること
③それに対して対象魚種がアワビとナマコだけなど、極端に少ないと、せっかくの国際的な期待や機運が十分に活用できず、日本と世界の漁業者への恩恵も小さくなってしまうこと
④実現可能性を担保し現状に配慮しつつ、全魚種拡大に向けた、ロードマップを作成、公開するとともに、これを隔年で見直し、改善していくことが重要であること。
⑤国内はまずはナマコ・アワビに加えシラスウナギを加えること、輸入品についてもまずはサンマ、イカ、サバ、イワシといったNPFC魚種をいち早く対象に加えること
⑥マグロについては、現状では国産品の場合には厳しい現物検査があるのとは対照的に、輸入品の場合には外為法に基づく書面確認のみとなっており、管理体制が十分に機能していないため、外為法の強化が必要であること。将来的には水産流通適正化法にマグロを加えて一元管理するべきであり、そのほうが現場のプラスにもなること
⑦IUUフォーラムとして、海外の情報提供者や有識者の紹介など、施行に向けた水産庁の作業をサポートできるので、引き続き協力していきたいこと

など意見交換を行い、国際的なIUU漁業の撲滅に向けた日本のリーダーシップに対する期待を共有しました。

水産流通適正化法については、現在、水産庁主催の検討会にて具体的な内容が議論されており、今秋にも対象となる魚種や申請に必要とされる情報についての大筋が示される予定です。